代表挨拶
工務店フォーラムNetのWeb講座でご好評を頂いていた木造住宅の構造解析ソフト、wallstatを利用した構造解析サービス「耐震シミュレーション」を始めました。
プロの方はもちろん、これから家を建てる施主の皆様、今お住まいの家の耐震性を確認したい皆様にもご利用頂ければと思います。
建築物の性能を定めた建築基準法は、その条文にもあるように国民の生命と財産を守るために、建築物の最低基準を定めたものです。しかし耐震性に関していえば「震度6強から震度7で倒壊・崩壊しない」という、建物の下敷きになって圧死はしないという程度のもので、住まい財産と考えるには甚だ不十分です。
住宅の寿命が30年から60年、70年へと伸びる中、確率的には一度か二度は、必ず大地震に遭遇します。
それは明日かも知れませんし、10年後かも知れません。しかし資産として次世代に確かな安全と安心を引き継ぐには、建築基準を超える耐震性が不可欠です。
耐震シミュレーションでは、想定する地震の強さ、実際の間取り、窓の位置などを入力し、建物のどこがどのように壊れるかを具体的に計算します。これから家を建てる場合は、設計者や工務店への希望を伝える材料として、今お住まいの家の場合は、そのリスクを確認して備えるための材料にして頂ければと思います。
2018年は大阪や北海道で大きな地震が起こり、西日本や四国では豪雨による大きな被害がありました。東日本や熊本での地震を加えると、大きな自然災害を免れているのは東京だけという状況です。
次は東京、と多くの方が思われるようになりましたが、実はこれも間違いで、確率的には全国ほぼ変わりなく何時なにが起きてもおかしくないという状況です。
「こんな大きな地震が来るとは思わなかった」という台詞はもう許されないでしょう。リスクを把握してしっかりと対策を取って頂きたいと思います。
代表理事 高口 洋人
早稲田大学 創造理工学部建築学科 教授